地域にやさしい商店街

土沢商店街

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~おしかけ商店街による商店街PR、惣菜販売による地元農産物の魅力発信~

商店街の様子 土沢商店街は、花巻市の東和地区(旧東和町)の中心的な商店街であり、周辺農村地域の住民にとっても、買い物に出かけるまちでした。しかし近年、若い世代を中心に市内の花巻地区や近隣の北上市に車で買い物に出かけたり、勤め帰りに買い物を済ませたりするなど、買い物客は土沢商店街から徐々に遠のいています。かつては、農家が農産物やうなぎなどを商店街に売りに来て、その帰りに商店街で買い物をして帰る光景も見られましたが、今ではこうした農家と商店の生活的・経済的な連携も薄れ、商店街と周辺農村地域の交流も少なくなっています。さらに、花巻市との合併を契機に、コミュニティの核である商店街を中心に運行されていた市営バス(旧町営バス)が、平成21年度からは朝夕の便のみ、日中は予約型の乗合タクシーに移行する試験運行が始まりました。こうしたなか、「商店街のあり方、農業と商業、中心部と周辺部の関係を見つめなおそう」という思いのもと、 ㈱土澤まちづくり会社が率先し、「おしかけ商店街」の取り組みが始まりました。
  おしかけ商店街は、商店街が実際に周辺農村地域に出向き、自らの商品を販売する取り組みです。平成21年度は、東和地区の周辺農村地域の2地区を対象に各1回、飲食店や食料品などのお店を中心に商店街の14店舗が両地域の会場に“おしかけ”ることになりました。事前の検討・準備作業は、㈱土澤まちづくり会社が事務局となりました。比較的商売が閑散期となる冬場であったことから、周辺農村地域と関係の深かった数人の商店主の協力も得られたほか、2地区にある市役所の地域振興センター職員の協力もありました。
おしかけ商店街のチラシ  開催前、日ごろ商店街に足を運んでくれない人たちが果たして会場にやってきてくれるだろうか、といった不安もありました。しかし、当日は各会場とも、200~300人程度のお客さんで大盛況となり、おしかけてきた商店街に対し、「よく来てくれた」「うれしい」といった声を聞くことができました。これまで、40~50歳代の若手世代や後継者が十分活躍できる場やきっかけも少なく、お客さんに顔を覚えられていない状況にありましたが、今回こうした若手世代が多く参加し、地域の人たちと交流できたことは、今後の商店街にとって大きな成果となりました。参加した飲食店からは継続的な実施の要望があり、今回参加していなかった商店からも次回は参加したいという声も出てきています。
  今回は初めての取り組みで、必ずしも十分な準備ができませんでした。実際におしかけ商店街を行ってみると、買回り品よりも急須など普段の買い物では手にしにくいものや、眼鏡のネジや時計の電池交換など、修理・メンテナンス関係のニーズが高いこともわかりました。将来的には、業種や商品構成なども含め、地域ニーズにあわせた形での実施も検討していきたいと考えられています。また、街なかにある商店街自体も、今後は必要な業種に業態を変えながら、店舗集積を図っていくことも重要です。平成23年の秋にはテナント付共同住宅「こっぽら土澤」をオープンさせ、農村地域で生産された加工品の情報発信や、農業と商業のつながりを深める拠点になる予定です。また、あくまで商店街の活性化の鍵を握るのは各商店であることから、まちづくり会社では各商店が活動しやすいステージを準備したり、呼び水になったりしていきたいと考えています。

商店街概要

商店街名 土沢商店街
所在地 岩手県花巻市東和町土沢
組合(会員)数 69店舗
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