地域にやさしい商店街

八事商店街

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~特産品「八事五寸にんじん」を核にした地域ぐるみでのブランドづくり~

商店街の様子 八事商店街には、地域に根付いた昔ながらの商店が立ち並んでいましたが、地下鉄環状線整備の長期にわたる工事により、平成16年の地下鉄開通を前に、旧来の店舗は大幅に減少しました。その一方で、残った商店では親から子への世代交代が進み、また外部からの新規出店も続いたことから、商店街全体としても世代交代が進み、商店街を“変える”機運が高まっていました。このような状況を受け、商店街振興組合ではこれまでのイベントとは異なる新しい活動として、商店街だけでなく八事のまち全体としてまとまるための取り組みを考えはじめました。そこで注目したのが、八事地域の名産であり愛知県指定の伝統野菜である「八事五寸にんじん」です。商店街の理事たちが中心となって、この八事五寸にんじんを製品化して地域ブランド商品として売り出すことを企画し、平成19年度から取り組みが始まりました。
八事五寸にんじん商品(左から、ドレッシング、ジャム)  着手から1年後の平成20年度からは市の補助(3年間)を受けながら、第一弾の商品であるドレッシングを発売、その後も品目を拡大してきました。原料となる八事五寸にんじんは、近郊の都市農家で栽培されているものを農協から仕入れ、商品ごとに県内の工場で加工しています。また、商店街からの積極的な働きかけにより、愛知県の特産品を集めたアンテナショップ「ピピっと!あいち」や百貨店、近隣の他の商店街でも販売されており、八事という地域の枠を超えた活動となっています。この活動では、商店街だけではなく地域住民にも積極的に参加を働きかけており、「八事・耕し隊」という住民の自主参加によるグループを結成して、商品開発段階での意見交換やPR活動を行っています。このように地域住民と協力して商品開発・PRにあたる体制をとることで、住民にも当事者意識がうまれました。
  取り組みの過程では、人手不足が慢性的な問題となっていました。しかし、無理なく継続できる考え方や取り組み方へと変えていくことで、現在まで活動を続けてきています。商品のPR活動は、商店街自らが地道に声をかけ続けることに加え、八事・耕し隊がさまざまなイベントに参加して行っており、そのPRの場はお寺のお祭りや大学の学校祭、さらには大型スーパーで行うなど、地域のさまざまな主体の協力を得ています。ただし、現時点ではこうした活動の人件費を確保できるだけの収益はなく、完全なボランティアで取り組みが保たれています。
  八事地域全体として八事五寸にんじんの地域ブランド化に取り組んできた最大の成果は、八事商店街の知名度の向上です。知名度の高い商店街が近所にあるという認識が、地元顧客の地域外への流出を防いでいます。今後は、商店街で八事五寸にんじん商品を取り扱う商店をアピールするなど、商店街への集客効果を高めるとともに、補助事業終了後の収益性を確保することが必要となっています。また、原料であるにんじんの生産段階から商店街がかかわり、都市内農業支援につなげることも考えています。この取り組みは、商品自体の売上げが伸びることがゴールではなく、商品を通して地域住民と交流することこそが目的です。そのため、将来的には商学連携も視野に入れながら、地域の子どもに対して八事の歴史を伝えるような取り組みにも発展させたいと考えられています。

商店街概要

商店街名 八事商店街
所在地 愛知県名古屋市天白区
組合(会員)数
URL http://www.yagoto.net/