環境にやさしい商店街

長府商店街

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~廃食用油のリサイクル~

 長府商店街は平成12年4月の台風高潮により加盟店22店舗が廃業に追い込まれるなど、甚大な被害に見舞われました。この加盟店の脱退により、商店街運営は危機に追い込まれました。現在の理事長就任から2年後の出来事でした。
廃食用油のリサイクル施設(全景)  山口県では平成13年度から「山口ゼロエミッションプラン」などの策定でエコ活動に対する補助事業を開始し、平成15年度には「廃食用油の回収リサイクル」事業補助を掲げました。商店街は一番手として、この事業に取り組むことになりました。背景には、天ぷら油が資源ごみの分別回収の対象外であったこと、リサイクルオイルは石油諸税が課税されないことから事業化(事業収益の計上)の可能性があったことがあります。
  長府商店街は県・市からの補助を受け、バイオディーゼル燃料製造装置を購入し、商店街組合事務所の敷地内に設置しました。天ぷら油の回収は市民からの持ち込みとし、1リットルに対して5ポイントの商店街ポイントを還元する仕組みを採り入れました。毎日10リットル超の持ち込みがあったことに加え、病院や飲食店など町内事業者からの回収ニーズが高まり、1日100リットルのバイオディーゼル燃料とすることができました。再生されたバイオディーゼル燃料は市清掃車への転売に成功し、この年間収益は商店街事業費の約1割を占めており、イベント資金などに充てられています。
廃食用油のリサイクル施設(バイオディーゼル燃料処理槽)  バイオディーゼル燃料の生産体制は確立できましたが、燃料の再生作業や事業者からの回収は組合理事長と副理事長が担っており、その負担が課題となっています。また長府商店街は、ソフト事業を担う「長府商店街振興組合」と、アーケードなどのハード事業を担う「乃木さん通り商店街振興組合」に分かれ、加盟店の大半がアーケード街に店舗を構えハード事業を担うグループに属しています。組合組織としてソフト事業を行っていくうえでは、構造的な問題があるといえます。
  しかしながら、商店街の廃食用油の回収リサイクル活動は、ポイント還元もあって市民の参加モチベーションは高く、循環型社会の構築にも貢献しています。商店街はそのモチベーションを拠り所にして、平成22年度にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定等事業」の採択を受け、「長府商店街の省エネルギー化調査」に取り組み始めています。策定調査委員会メンバーである水産大学校からは、練習船の燃料としてバイオディーゼル燃料を使いたいとの意向が寄せられるなど、生産量の倍増化が求められるようにもなってきました。
  商店街は今回の調査・事業策定結果をもとに、日量500リットルを製造できる装置を導入して事業採算ベースに乗せ、専属スタッフを雇用するなど事業拡充の実現に期待しています。さらに、今後、エコキュート化や街路灯のLED化などを採り入れたさらなるエコ商店街づくりを目指す方向です。

商店街概要

商店街名 長府商店街
所在地 山口県下関市長府土居の内町
組合数 50
URL http://chofushotengai.sakura.ne.jp/